Background
「定期報告制度(12条点検)」とは何か
建築基準法第12条に基づき、一定規模以上の建物の所有者・管理者には
定期的に外壁等の調査を行い、特定行政庁(都道府県・市区町村)に報告する義務があります。
これを通称「12条点検」と呼びます。
⚖️ 対象となる建物(特定建築物)の主な種類
| 建物の種類 |
主な用途・例 |
義務の区分 |
| ホテル・旅館・宿泊施設 |
旅館・ホテル・ゲストハウス |
義務(政令指定) |
| 医療・福祉施設 |
病院・診療所・老人ホーム・保育所 |
義務(政令指定) |
| 商業・業務施設 |
百貨店・スーパー・映画館・事務所ビル |
義務(政令指定) |
| 学校・公共施設 |
小中学校・公民館・体育館・図書館 |
義務(政令指定) |
| マンション・共同住宅 |
3階建て以上 かつ 一定規模以上 |
特定行政庁指定 |
※ 対象かどうかは建物の規模・用途・所在地の行政区域によって異なります。まずご相談ください。
⚠️ 義務を怠ると罰則があります
建築基準法第101条により、特定建築物の調査・報告を怠った場合や虚偽報告をした場合は、
100万円以下の罰金の対象となります。また、外壁タイルの落下などで事故が発生した場合、
民法第717条に基づく損害賠償責任を負う可能性もあります。
外壁調査が特に重要になるのは、竣工または外壁改修から10年を超えた最初の定期調査の際です。
この時点で「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」の全面調査が義務付けられています。
Problem
従来の「全面打診調査」が抱えるコスト問題
外壁の全面調査といえば、長年「足場を組んで作業員が1枚ずつタイルを打診棒で叩く」というやり方が主流でした。
これは精度が高い反面、コストと時間が膨大にかかります。
🏢 例:外壁面積 1,000㎡ の建物(5〜7階建て程度)の場合
足場打診調査:約 160万円(足場代120万円+打診費25万円+損傷図等)
ゴンドラ:約 500万円前後(設置・解体・調査日数による)
ドローン赤外線:約 20〜40万円(報告書込み)
出典:ヒロ総合メンテナンス・ドローンフロンティア・各社公表資料をもとに作成
足場の設置・解体には1〜2ヶ月の工期がかかることもあり、
ホテルや病院では「調査音(打診音)が営業の邪魔になる」という問題もありました。
こうした課題を解消するために赤外線調査が普及してきた、という経緯があります。
Law Reform
2022年・2025年の法改正で何が変わったか
ドローンによる赤外線調査は2段階で法的に整備されました。
「以前から使えなかった」わけではありませんが、2025年4月の改正で法律レベルの根拠が確立されました。
2008年(平成20年)4月
外壁全面打診調査が義務化(建築基準法改正)。
赤外線調査も「打診等」の選択肢として認められていたが、
ドローンについての明示なし。
2022年(令和4年)4月1日 施行
国土交通省告示第282号の改正。
「無人航空機(ドローン)による赤外線調査であって、
テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものを明確化」。
合わせて国土交通省ガイドラインも策定・公表。
告示レベルで明確化
2025年(令和7年)4月1日 施行
建築基準法施行規則の一部改正(令和6年12月27日公布)。
ドローンによる赤外線調査が、告示レベルだけでなく
「施行規則(政省令)レベル」にも明文化。法的根拠がより強固に。
誰が見ても「法律に書いてある」状態に。
施行規則(法令)レベルに格上げ
📌 重要な条件:「打診と同等以上の精度」が必要
ただ撮影すればよいというものではありません。改正の要件として
「テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するもの」に限られます。
適切な機材・気象条件・実施手順(国土交通省ガイドライン準拠)を守って実施した調査のみが
定期報告に使用できます。
スリーが使用する DJI Matrice 4T(赤外線解像度640×512px、温度分解能0.1℃)は
このガイドラインに対応する産業用機材です。
Capabilities
ドローン赤外線調査で何が調べられるか
赤外線カメラは「物体が放射する熱の分布」を画像化します。
外壁タイルが浮いている箇所は内部の空気層に熱がこもるため、
健全な部分と温度差が生まれます。これを上空から面的に捉えることで、
目では見えない劣化を発見できます。
✅ 検知できること
- タイル・モルタルの浮き・剥離(定期報告の主対象)
- 外壁面のひび割れ・損傷(可視カメラ)
- 雨漏り・漏水の疑い箇所(水分による低温域)
- 断熱材の施工不良・熱橋
- 建物全面の温度分布マッピング
— 検知が難しいケース
- 北面・常時日陰の壁面(温度差が生まれにくい)
- 金属・ガラス面(赤外線の反射で誤検出リスク)
- 曇天・強風・雨天時(気象条件による精度低下)
- 非常に薄い浮き(温度差が微小)
- 乾式工法のタイル(落下リスクが低く対象外)
💡 実務では「1階付近の打診+上階のドローン赤外線」の組み合わせが標準的です。
手の届く範囲は確実に打診し、それ以外の高所部分をドローンでカバーする方法が
国土交通省ガイドラインでも推奨されています。スリーでは連携する建築士とともに
最適な調査方法を提案します。
Process
調査の流れ(相談から報告書納品まで)
依頼から報告書納品まで、通常2〜4週間程度です。
外壁面積・地形・飛行申請の要否によって変わります。
1
ご相談・事前情報収集
建物名・所在地・規模(階数・外壁面積)・竣工年・
過去の調査履歴をお知らせください。立面図や平面図があればより正確な
費用をお伝えできます。
📄 必要情報:立面図 or 建物写真・外壁面積の概算
2
現地確認・赤外線適用条件の把握
建物形状・周辺環境・飛行空域を確認します。
北面や隣接建物との距離など、赤外線調査が難しい箇所を洗い出し、
打診との組み合わせ計画を立てます。
3
飛行申請・調査計画書の作成
国土交通省への飛行申請が必要な場合は代行します(市街地・
特定地域は個別申請が必要)。調査計画書は国土交通省ガイドライン準拠で作成します。
4
現地調査(赤外線撮影+1階付近の打診)
晴天・適切な気象条件の日に実施します。
ドローンが外壁全面を赤外線撮影し、同時に可視光でも高解像度撮影します。
手の届く範囲は打診で補完します。
⏱️ 所要時間:1,000㎡程度で半日〜1日
5
熱画像解析・浮き判定
撮影した熱画像を解析し、「著しい浮き」と判定された箇所を
抽出します。GPS座標と照合して立面図上に位置をプロットします。
6
調査報告書の作成・納品
定期報告に提出できる形式で調査報告書を作成します。
建物概要・調査実施体制・熱画像台帳・浮き位置図・損傷写真台帳をセットで納品します。
📦 詳細は次のセクションで
Deliverables
成果物のイメージ(納品物の内容)
以下の成果物をセットで納品します。定期報告制度への提出に必要な書類一式を揃えることができます。
(一部成果物は連携する建築士との分担となります)
🌡️
Deliverable 01
赤外線熱画像データ
建物外壁を撮影した全赤外線画像。異常箇所は赤〜オレンジ色に表示され、
浮き・剥離の疑いが視覚的に確認できます。RAWデータも含めて納品します。
📷
Deliverable 02
高解像度可視光写真
外壁全面の可視光写真。ひび割れ・欠損・汚損など目視で確認できる
劣化の記録として使用します。建物の外観記録としても活用できます。
🗺️
Deliverable 03
浮き箇所位置図(立面図プロット)
浮きと判定した箇所を立面図上に位置・範囲と共にプロット。
定期報告書に添付できる「外壁調査結果図」として作成します。
GPS座標との紐付けも可能です。
📋
Deliverable 04
赤外線画像解析台帳
異常箇所ごとに赤外線画像・可視光画像・位置・コメントをセットにした台帳。
今後の修繕計画立案・業者への説明に活用できます。
📄
Deliverable 05
外壁調査結果報告書
定期報告制度への提出に対応した報告書。建物概要・調査実施体制・
調査日の気象条件・赤外線装置の仕様・適用条件チェックリストを含みます。
連携する一級建築士が内容を確認します。
✈️
参考資料
飛行計画書・安全管理記録
国土交通省ガイドライン準拠の飛行計画書と、調査時の安全管理記録。
「ガイドラインに則って実施された調査」であることを証明する書類として
報告書に添付します。
📌 定期報告の提出には一級建築士等の関与が必要です
建築基準法第12条に基づく定期調査は、一級建築士・二級建築士または
建築物調査員が外壁調査実施者として関与する必要があります。
スリーは調査の実施・熱画像取得を担当し、連携する建築士が報告書の取りまとめ・
特定行政庁への提出手続きを担当します。
FAQ
よくあるご質問
建物の所在地の特定行政庁(都道府県・市区町村の担当部署)に確認するのが確実です。
一般的に、ホテル・病院・百貨店・学校・3階建て以上の共同住宅などの用途で
床面積が200㎡以上の場合は対象になることが多いですが、
特定行政庁によって細かい指定が異なります。
ご相談いただければ、建物の概要をもとに対象かどうかの確認をサポートします。
提出先は国土交通省ではなく、建物が所在する都道府県・市区町村の
「特定行政庁(建築指導課等)」です。
例えば和歌山市内の建物であれば、和歌山市の担当窓口に提出します。
報告書の提出手続きは、連携する一級建築士が代行します。
はい。以下の場合はドローンによる調査が難しくなります。
①密集市街地で周囲にドローンの飛行スペースが確保できない場合(飛行申請で対応できるケースもあります)、
②北面・完全日陰の外壁(赤外線調査の精度が低下するため、打診との併用を推奨)、
③強風・雨天・曇天時(気象条件による飛行制限)。
これらの部分はロープ打診や地上からの赤外線撮影と組み合わせて対応する方法を提案します。
調査報告書・浮き位置図をもとに、修繕工事の概算規模をお伝えすることはできます。
実際の工事については専門の修繕業者に依頼していただく形になりますが、
適切な業者への紹介もサポートします。
「調査して問題箇所がわかった後、どうすればいいか」という相談も歓迎です。
「定期報告の準備をそろそろ始めたい」
まずは相談から。
立面図や建物概要があれば、費用の目安をすぐにお伝えできます。
相談・お見積りはすべて無料です。
📞 090-4840-1085(平日 9:00〜17:00)